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2006年02月18日

旅行業の基幹システム

 昔からの持論であって、たぶん真理だと思うが、観光業界のIT化は観光業界のプロがITの細かいところを知らず、IT開発者が観光業界を全然分かっていないので、できあがった観光IT製品が全く観光業界の役に立たないものになっている。
 
 コンピュータ化でさまざまな企画がITの側から観光業界に持ち込まれたが、多くは失敗した。
 
 観光業界は逆にIT開発者に対して、どんどん注文をつけていけば良かったのだが、それをやってこなかった。
 
 だから両者の橋渡しになる人や会社が必要で、それが観光産業のIT化に貢献するだろうと予想していた。30年前の話だ。30年前、すでに電気通信の研究者らの間では、現代のインターネットのような環境が整うと予測していた。NTTは2000年までに現代のインターネットのような通信環境を整えるというロードマップをつくっていた。いま、ほぼロードマップ通りになったと言える。
 
 わたしの予想は観光産業とIT企業の橋渡しになる人や企業が必要になるというものだったが、この予想は修正しなければならない。旅行会社経験者自身がシステム開発を行ない、製品を一般化するのがベストだ。
 
 旅行業の経験がないシステム開発者に旅行業務を教えて製品を作るより、旅行を知り尽くしたプロフェッショナルが、自分でシステムを開発すれば、ベストの製品ができる。
 
 旅行宇業務をコンピュータの処理に置き換える開発過程で、旅行業務全体の合理化、効率化が図られ、できあがったものは普遍性を持つようになる。
 
 会社は伝統や企業風土があって、同じ業種でも仕事の仕方にクセ(個性)があるものだが、上のように開発された製品を使うのが合理的と判断できれば、それまでの仕事のやり方を製品にあわせた方がよい。
 
 30年前、朝日新聞がIBMと組んで何百億円もかけて大型コンピュータを使った日本語の新聞製作システムを開発。その後、大手新聞も続々独自に新聞製作システムを開発した。ところが、パソコンの性能の向上で、それまで大型コンピュータが必要だった新聞製作もパソコンソフトで作れるようになった。大型コンピュータの経験はパソコンで十分活かされていることと思う。
 
 わたしは新聞製作に主にページメーカーを使うが、ページメーカーでできることだけをやろうと、10数年前に考え方・製作方針を変えた。新聞の伝統にしたがってそれまでの紙面を再現するより、ページメーカーの機能にしたがった方が効率がよいからだ。インデザインというもっと機能が多くついたソフトも持っているが、わたし自身は使ったことがない。ページメーカーになれてしまうと、ワードや一太郎といったワープロソフトも全く使っていない(使い方も知らない)。
 
 新聞製作と同じように、パソコンを使った旅行業の基幹システムを開発している企業があり、非常に面白い仕組みになっていることを最近知った。パソコンを使うので、システムへの投資額は劇的に減り、日常業務も大幅に合理化・効率化できる。
 
 ビィー・フリーソフトという会社だが、わたし自身は旅行業の実務経験者ではないから、旅行社に面白さを精密に伝え切れない。システム開発の基本的なスタンスと新聞製作の実例をもとに、雰囲気だけ紹介した。


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Posted by 渡久地明 at 11:02│Comments(3)観光情報学の話題
この記事へのコメント
渡久地さん

ブログでご紹介を頂いているとは・・・。ありがとうございます。

システムは万能ではない。インターネットは玉手箱ではない。という認識が作り手にも、使い手にも必要ですね。
Posted by 白井旬 at 2006年02月26日 09:58
>インターネットは玉手箱

というふれこみで、人を釣る商売が最近やたらと目に付くので。そろそろ目を覚まして欲しいですね。
Posted by 渡久地明 at 2006年02月26日 13:50
こういうこともいえるよね。画像コンテンツが増えたからといって、ハードディスクの容量を増やす開発に走ったメーカーは失敗、市場のニーズは軽量化を求めノートPCが主流となってきた。無駄遣いをしている公共団体に問いましょう。組織の作業は製品に従うものだと。
Posted by at 2006年03月10日 23:37
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