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2007年04月23日

「台所」対「格差」のしらけ選挙

 選挙家結果は事前の新聞社の世論調査通りの結果になった。世論調査をするまでもなく、狩俣候補は知名度が低すぎた。
 
 当選した島尻候補は那覇市議会選挙に2回出ていて、最初はトップ当選、確かその次ぎもいい線を行っていた。また、配偶者の島尻昇さんの選挙もズーッと一緒にやってきたので、それなりの人脈もあったと思う。
 
 一方で、全然盛り上がらない選挙戦でもあった。投票率は47.8%と主要選挙で最低という。
 
 島尻候補が「台所から政治を変える」という国政選挙なのに、かなり情けないトホホな訴え、狩俣候補は「格差是正」を正面に打ち出した。
 
 「台所」対「格差」の選挙だったわけだが、両陣営の力のいれようはすばらしかった。特に安倍首相は「わたしはアジア・ゲートウェイ構想を提唱している。その中心になるのは沖縄だ。そのためには那覇空港の建設に全力を注ぐ」と述べていた。
 
 一方、格差是正は言葉は分かるが、その実現の仕方について、新聞を読んでも全然分からなかった。福祉に予算を回すといっても財政難の折り、福祉に金を回せば他の予算を削るということになる。景気は回復せず、ますます格差は広がることになる。
 
 さまざまな発言からわたしは狩俣候補は構造改革派(の財政破綻厨)だと思っている。格差を是正するにはデフレから脱して景気を良くすることがまず必要なのだが、それについてはまったく何も聞こえてこなかった。
 
 安倍首相がいう那覇空港の早期拡張や米軍撤退や大学院大学と組み合わせたアジア・ゲートウェイ構想(=96年頃のほぼ沖縄全域フリーゾーン構想)の方が沖縄にとってはプラスになり、格差は縮まるはずである。大がかりな財政支出も必要になる(日本全体にとっては小さいが)。沖縄にとってはそれの方が好ましい。しかし、財政破綻厨はそれに踏み込めなかった。台所は最初からそんなことに考えも及ばない。
 
 国政選挙であるのだから、狩俣陣営は首相が提唱するアジアゲート・ウェイ構想を丸飲みして「本当に実現させるために、それを監視するためにわたしが国会で厳しく戦う。大学院大学、那覇空港、嘉手納以南の普天間返還を確実に実現させる」といえば、台所よりはかなり盛り上がっただろう。ま、その場合、辺野古のV字型滑走路も受け入れることになるが、基地問題を争点にしないのであればそのくらいいうべきである。
 
 選挙では基地問題は2の次になった。県民もこれだけ痛めつけられたら、基地問題どころではなくなって来たのではないか。格差が拡大した結果、目の前しか見えない。長崎市長の襲撃も、貧困が原因であり、政治的なテロというわけではなく、市役所に対するわずかなカネのための恨みが原因だった。市役所の親分が市長であるという単純な思いこみによる一人一揆のようなものだ。多数で一揆を起こせばそれなりの政治的なインパクトがあっただろうに…。
 
 沖縄補選の場合、不満をぶちまけて投票するというようにはならず、ばかばかしくて半数が棄権するという結果になった。誰に投票しても何も変わらないというしらけたムードが蔓延して、投票率も下がったのだと思う。
 
 選挙の争点も台所と景気回復の筋道が示されない財政破綻厨の格差是正論では話にならなかった。組織的に動いた自公に有利に作用した。生活者を大事にしようという台所もそれほど悪くはない。
 
 あ、余談だが、土曜日にでいご食堂で肉そばを食っていたら、外がざわついてきた。よくある選挙カーだった。しかし、道路を挟んで演説を始めたのは民主党の菅さんだった。食堂を出て菅さんを見に行く人もいたし、マンションの窓やベランダから手を振る人も多かった。
 
 「菅直人です。皆さん、相手候補は沖縄で生まれ育った人ではありません。こういう人を沖縄の代表にしてもいいのでしょうか」といっていた。そのまま移動するかと思ったら、でいご食堂に走って来て、「菅直人です」といってみんなと握手した。わたしも、「やあ菅さん、お久しぶり」といって握手したわけだが、お客が5人、厨房に4人くらいで喜んでいた。人気があるなあ。それにしてもいってることが…、台所よりトホホじゃあねーか。


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Posted by 渡久地明 at 20:41│Comments(0)デフレ脱却
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