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2009年02月20日

デフレギャップ20兆円


国内の供給過多20兆円 デフレの危険性増す

 日本経済全体の需要と供給の差を示す「需給ギャップ」が、08年10〜12月期にマイナス4.3%となった。金額で示すと約20兆円のマイナス。内閣府が19日、政府の経済財政諮問会議に推計値を報告した。

 需給ギャップとは、国内総生産(GDP)と、国内の製造設備や労働力から推計した潜在GDPとの差を、潜在GDPに対する比率で示した数字。

 このマイナス幅の拡大は失業者や遊休設備が増えている状態を示す。需要が供給を下回ると物価も下がりやすい。売り上げが減った企業が人員削減や賃金カットに踏み切り、家計は一段と消費を減らすため需要が減る——という負の連鎖を促進しかねない。

19日の諮問会議では、民間議員が財政出動の中身について「需給ギャップを公共事業などで埋めるのではなく、民需主導の持続的な成長を実現するための成長力強化が重要だ」と提言した。
朝日新聞2009年2月20日


 デフレギャップが20兆円との計算だが、実際にはもっと大きいだろう。過去20年分のデフレギャップの累積でいえば、丹羽春喜教授が示すように数百兆円に上るはずだ。

 100歩譲って08年度はじめから徐々にデフレギャップが開き、1年分だけの累積を見たとしても、3月までにさらに拡大、30兆円くらいになるだろう。

 いますぐ波及効果も含めて30兆円分の財政出動を行い、消費に結びつけば07年度末の経済状況に戻るというわけだ。07年度末ってそれほど景気は良かったか? 全然良くない。

 とはいえ30兆円の需要をつくるために公共投資に着手しても、工事完了までに何年も時間がかかる。その間、デフレは止まらない。

 30兆円分のデフレギャップを解消する民需をつくるには、国民があらゆる方面で30兆円分、短期間に消費するというのが最も手っ取り早い。それにはカネを直接国民に一律に一気にバラ撒くことだ。期限を切って消費税をゼロにして政府が率先して消費拡大キャンペーンを展開すべきだ。

 そのための数十兆円規模の財源には政府紙幣の発行という政策がベストである。持続的経済成長を取り戻すには、政府はこの政策を景気が本当に回復した後、さらに数年間は続けると約束する必要があるだろう。

 いまの不況は91年のバブル崩壊後のデフレが十数年も継続しているところに、アメリカの金融バブル崩壊が重なったため日本が世界で最も影響を受けている。過去の大きなマイナスを取り戻すためにも大規模な景気対策が必要だ。

 政府紙幣発行は最後の手段である。多くの経済学者がいずれカネを刷るしかなくなると予想したとおり、とうとうそれを使う・使わないというところまで来てしまった。

 国会議員の勉強会がやっとスタートしたが、真剣に検討すれば、これしかないという結論にすぐに達するはずだ。

参照:小野盛司氏の記事(「神州の泉」)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/02/post-e3e3.html
 
 実現すれば、今年の日本は世界経済を回復させたとして、各国から称賛を受けることになる。



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Posted by 渡久地明 at 22:56│Comments(0)デフレ脱却
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