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2005年08月07日

なぜ郵便局を民間に売り渡すのか

ちょっと古くなったが、郵政民営化の衆院通過後に書いた原稿のコピペ。

吉元政矩氏のメルマガだが、吉元氏とこの問題について話したことはない。わたしと別の意見だったとしても(吉元氏コラム一年ぶりに更新してましたhttp://www.tenpi21.com/)、(議論はするだろうけど)気にしないと思う。



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       天妃ドットコム・メールマガジン-0722(No.195)
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      ●●なぜ郵便局を民間に売り渡すのか-渡久地明●●

 衆院で郵政民営化法案に反対した自民党議員の顔が明るい。信念を通した
晴れやかな顔である。

 郵政民営化は私も間違いであることを知っている。郵政事業は黒字であり、
税金は一切投入されていない。

 郵便貯金は国が保証しているから、民間銀行のようにペイオフなどがない。
そのかわり、貯める金に上限があったり、金利が民間より安いという制度だ。
貯金というのは国民の財布そのものであり、郵便局の都合によって増えたり
減ったりするものではない。金利のリターンを求める民間銀行への預金とは
異なる。

 数年前、銀行も国民が選ぶ時代であるとして、金融商品の知識を国民も持
つべきであるというブームが起こったが、本来これはおかしなブームだ。銀
行は倒産することもあり、その場合、預金は戻ってこないから、預金者の自
己責任で銀行を選べ、というものだった。護送船団方式に終止符を打つ金融
改革だった。

 不思議な商売があったものだ。どこの世界にわが社の製品はどこかに欠陥
があるので、自分でその欠陥を見つけだし、自己責任で選べという業界があ
るだろう。自動車メーカーがそんなことをいったらすぐ倒産だろう。(自動
車メーカーは欠陥があってもないと言い張ったわけだが…)

 しかし、銀行はそれがあり得る。実際には潰れそうになった銀行には多大
な税金が投入され、銀行そのものはいまでも保護されているのである。国民
は逆にペイオフで1000万円までしか保証されない…。これは逆立ちした
政策である。国民は保護するのが当たり前、銀行も活性化させる景気拡大策
が正しい。

 残念ながら、いや予想どおり、政府支出を減らしたら、GDPの低い伸び
は継続したまま、景気は回復していない。しかも、社会補償費や税金は上が
るのである。将来への期待がもてないから、だれも銀行からカネを借りよう
としない。

 その中にあって郵便局だけは国民の貯金を守ることができる金融機関とな
っていた。これを民間企業に売り渡そうというのが、今の郵政法案だ。政治
を行おうとするものなら反対が当然の法案である。

 当たり前のことを言うのに今の政界では脅しに屈しない信念が必要になっ
たらしい。参院では当たり前の主張が通ることを、見せて欲しい。

(7月21日配信、執筆は7月12日)

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Posted by 渡久地明 at 21:17│Comments(0)デフレ脱却
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