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2013年09月30日

消費税、決まっていてもひっくり返せ

「観光とけいざい」(第862号、9月15日付)のコラム

 本紙が読者の手元に届く頃には安倍首相の消費税増税か見送りかの判断が出る頃である。全てのニュース報道が九月中旬から首相は消費税増税の方針を固めたと報じていた。それに沿った判断になるのか、どんでん返しがあるのか。

 筆者は増税をやめてどんでん返しを行うべきであると改めて主張する。増税したら景気の腰折れは間違いないので、それを防ぐための経済対策を打つといわれているが、そんなことをするくらいなら、最初から増税しない(減税)という対策を打つのが合理的で、手間もかからない。筆者は国会の運営に詳しくはないが、凍結するという一行を朝、衆院で決めて、夜に参院を通せば一日で決着だという人もあり、それでよいではないかと思う。

 多くの友人・知人からは「消費税増税に反対ではあるが、ここまで外堀が埋まっては、ひっくり返すのはムリ」という話しも聞く。しかし、これは経済の話しではなく、単なる政争になる。誰が仕掛けているのか。

 消費税増税は法律の条文にさまざまな指標を見て、首相が決めるとの明確な附則がある。何回かの増税決断報道のあと、菅官房長官は一貫して「首相はまだ決めていない」「報道が先行しているのでもう決まったものと皆さん思っているんでしょうね」ともいっていた。

 まあ、政府のいうことを素直に受け取るのは素人のようだが、今回の安倍首相はいったことをそのまま実行してきたという実績がある。総裁選前からリフレ政策を中心に据え、総裁選、総選挙ででもデフレ脱却、そのための金融政策を主張し、その通りの手を打ってきた。

 デフレを主導した日銀白川総裁をリフレ派の黒田総裁にすげ替え、インフレ目標二年で二%、量的緩和二倍という政策を約束、実行に移した。

 昨年九月に総裁に選ばれてから、資産市場はすぐに円安、株高に振れ始め、十二月衆院選では、勝つ前から円安で輸出企業がドーンと利益を出し、デパートの売上が増え始めた。日銀の異次元の量的・質的緩和策でさらに景気回復は手堅いものと見られ、国際的にも大きな評価を得た。

 ノーベル経済学賞のクルーグマン教授はインタビューに応えるカタチで日本限定の新刊「そして日本経済が世界の希望になる」(PHP新書)を出し、この中でアベノミクスを最新の知見に基づいて絶賛している。もちろん、増税しなかったら国債が暴落するとか、政府債務が大きすぎるという点などには明快に反論している。面白いのは、二%のインフレターゲットの出口策として、四%のインタゲを提唱していることだ。

 安倍首相はこれほどの評価を得た政策とデフレ脱却のチャンスを、外堀が埋まったからとか、他の政治的な理由があるからといって手放すようなヤワな政治家ではないはずだ。いまからでもひっくり返すべきだ。(明)



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Posted by 渡久地明 at 17:52│Comments(0)デフレ脱却
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