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2005年11月27日

小さな政府は大きな迷惑

この構造計算の泥仕合は、官から民へのなれの果てだろう。その奧には不況の影響がある。

政府はカネがないので民間活力を導入して検査を民間に渡した。しかし、そのチェックのための民間企業は建設会社が出資してつくったものだったから、お手盛りのチェックになった。

日本ではこれと同じことがいろんなところで行われている。

終戦直後、日本の大学の教授は中央審査会で審査したが、これの例外として東大その他の「権威ある」大学は無審査で自分でお手盛りで博士号を出し、全く能力のない人が教授になった。その後、全国の大学で同じことが行われ、お手盛りの博士号がどんどんでた。

似たような例に柔道の昇段試験がある。昔は講道館だけが段を出したが、その後、全国で段を出せるようになると、講道館1級程度の実力が、全国で初段になり、黒帯がどんどん増えた。わたしも柔道は初段だが(ま、これはあまり実害はない)。

読者は5、6年前だったか、金融ビッグバンでこれからは銀行の財務内容を勉強した上で預金しなければならない、と言われたことを思い出して欲しい。さらに、保険の知識、投資する場合の証券会社の知識、年金の知識と本業で忙しいのにどんどん自己責任でいろんな勉強をしなければならなくなり、今度はマンションの構造計算も勉強しなければならなくなった。

こうなってくると、一体何のための銀行や保険会社か、建築会社かと言うことになる。

日本全体どの業種もいい加減だから、消費者はすべてのものに知識が必要と言うことになってくる。まさに究極の小さな政府なのだろうが、国民の負担(カネ以外の銀行や保険会社の財務内容とか、マンションの構造計算などのお勉強に要する時間や労力)はどんどん増える一方だ。そのうち、食中毒は食ったやつの責任、病気で死んだら病気になったやつの責任、藪医者にかかったやつの責任、交通事故も被害を受けた方の責任となるだろう。非常にばかばかしい。小さな政府は大きな迷惑だ。


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Posted by 渡久地明 at 19:00│Comments(0)デフレ脱却
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