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2006年02月13日

1991年ハワイで何があった

 ハワイへの観光客数が1991年から伸び悩み、その理由は新しいホテルができずに、それ以上観光客を受け入れることができなかったからだということに去年、気が付いて、そのように述べた(http://www.sokuhou.co.jp/library/COLUMN/676-COLUMN.html)。
 
 一方、90年代ハワイの観光行政はプロモーションに力を入れて回復を目指したが、なかなか回復しなかった。HVBなどの機構改革も行った。ハワイが苦戦しているというのはリアルタイムで知っていたが、伸び悩みの理由がなかなか分からなかった(http://www.ryugin.co.jp/chosa/report/pdf/367senshin.pdf)。
 
 このハワイの伸び悩みが始まる1991年という年は湾岸戦争の年であり、世界中の有力観光地がマイナス成長を記録した年でもある。

 同時に日本のバブル崩壊も1991年。しかし、GDPは97年92年まで拡大を続けた。
 
 アメリカではクリントン大統領が登場するのが1993年1月。
 
 沖縄観光成長の法則で、客室が増えなければ観光客も増えないことが分かったので、ハワイの客室を調べたら、客室も91年から増えていない。だから、客室が伸びないため観光客も増えないと結論した。
 
 では、なぜ客室が増えないのか。最近、ハワイの失業率が3%以下に下がり、ほぼ完全雇用に近い状態になっていることから、ホテルを造っても従業員が集まらないからだろうと推測していたのだが、それはテロ後、ここ数年の傾向であり、確かに90年代を通じてハワイは苦悩していた。

 それにしても91年からバッタリ客室も増えず、観光客も増えないのはなぜだろう。ハワイはこの伸び悩みを確かに悩んでいる時期があった。悩んでいないのは最近のことのようだ。
 
 もう少し数値を詳しく見てみると、91年からの伸び悩みは、東洋からの観光客数=主に日本人がバブル崩壊で減少したのかと思っていたら、97年まで堅調に伸びている(橋本政権の逆噴射まで!!)。
 
 91年から減ったのは米本土からの観光客で、日本人が増えていたおかげで、大幅なマイナスをカバーして横這いを維持できたのだった。98年からの日本人の伸び悩みは橋本政権での行革・消費税アップという逆噴射政策のおかげだろう。

 ハワイの91年ごろからの低迷は、日本のバブルの崩壊で日本人が減ったのではなく、米本土からの観光客が減っていたのだった。なぜだろう。
 
 クリントン大統領は、
 
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アメリカ経済の中心を鉱工業から情報・金融に重点を移し、第二次大戦後としては2番目に長い好景気をもたらし、インフレなき経済成長を達成した。グリーンスパンFRB議長の助言の下に、均衡財政をめざし、巨額の財政赤字を解消して、2000年には2300億ドルの財政黒字を達成した。

教育を重視し、学校へのPC導入など、IT教育を推進した。その他、就学前児童の早期教育プログラムの拡大、移民の英語教育の充実を図った。後期には「強いドル」政策を実行し、他国の通貨に対してドル高を維持し、海外からの投資を呼び込んだ。また、アル・ゴアの提唱した「情報スーパーハイウェイ構想」を推進し、IT産業の育成と、IT化による生産性向上(ニューエコノミー)を押し進めた。

税制では、レーガノミックスで引き下げられた高額所得者の所得税率を引き上げた。国民健康保険のような制度が整備されていないため高額な、国民の医療費負担を改善させるための制度を導入しようと試みたが、民間保険会社や企業などからの法案反対活動で成立させることは出来なかった。

(中略)

一方では、好景気の原因は大統領の政策によるものではないとする意見や、好景気は冷戦から解放された資源が民需に回ったことによる「平和の配当」だとする評価、クリントン政権以前のレーガン・ブッシュ時代の知的財産権重視、市場原理強化政策の成果が周回遅れで出て来たとする評価もある。

しかし、FRBの金融緩和、それと連携した財政再建およびドル高容認などによる「金利の低下」に、当時の好景気の主要因を求める意見が、専門家の多数説である。クリントンの経済政策は、後任のジョージ・ウォーカー・ブッシュのそれとは好対照であり、現在その政策は再評価されている。ただし、長期にわたる好景気をもってしても、レーガノミックスによって拡大した社会格差を是正することは、ついに出来なかった。(ウィキペディア「ビル・クリントン」、下線はわたし)

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 という政策をとり、景気を回復し、財政赤字まで解消したのだった(いまの日本は、この政策をとるべきであるのに、全く逆のことをしている)。
 
 ハワイはアメリカでは高所得者層の観光地なのだろうか。上の記事にもある高額所得者の所得税率引上げは有名だが(非常に高所得者層からの評判は悪かった。これを元に戻すためブッシュが誕生したという見方もある)、まさかそれによってハワイに行けるアメリカ人が減ったとは思えないのだが。

 ハワイ島に全米の金持ちの別荘ブームが起こっているというが、ブッシュの高所得者優遇政策と関係があるのだろうか。そして、ハワイの観光客数は05年は730万人程度と初めて700万人を越え、過去最高を記録するのは間違いない。

 ハワイ…。10年くらい行っていないなあ。行くといろんなことが分かりそうなのだが。


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Posted by 渡久地明 at 23:59│Comments(0)デフレ脱却
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