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2006年04月16日

外貨準備でグアム基地建設、沖縄再開発がよい

前エントリで、外貨準備で、グアムの工事費を出したらどうかと述べた。その際、外貨準備のほとんどが米国債だから、それを市場で売ってドルに替えて原資にしたらよいと述べた。突拍子もない話だと自分でも思うが、現実に、政府はアメリカ国債を売って、資金を調達しているケースがある。

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(略)日銀が保有する81兆円の国債は、国の日銀への債務である。日銀から見れば国に対する債権を持っていることになる。しかし日銀を国の子会社と見なし、連結決算を行なえば、子会社に対する債務と親会社(日本国)に対する債権は相殺される。つまり日銀が引受けた国債は実質的に国の借金ではなくなる。実際、日銀が購入した国債にも国から利息が払われるが、この利息は最終的に国庫納付金として国に吸い上げられている。つまり日銀が国債を引受けた場合、その分の国債は実質的に国の借金にならない。

もっと驚くことは、為替特別会計の補正予算が成立する前(補正予算は2月9日に国会を通過)、介入予算がなくなった日本政府は、米国債を日銀に売却して資金を調達し、5兆円の為替介入を行なった。しかしこれを冷静に考えると、日銀が米国連銀に代って「非伝統的な金融政策」、つまり中央銀行による国債引受け(広義のセイニアーリッジ政策)を行なったことを意味する。(略)

「経済コラムマガジン」04/2/16(332号)
http://www.adpweb.com/eco/eco332.html

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なーんだ、政府保有の米国債は売れないというのではなく、ときどき日銀に売って円に替えているというわけだ(市場では売れないということだろう)。上の場合、替えた円を使ってドル買い介入し、円安にしたわけだ。しかし、日銀から受け取った円は為替介入以外の目的で使ってはいけない法律があるのだろうか。

なければ、グアムへの100億ドル、沖縄再開発の1000億ドルを、外貨準備から出しても誰も困らないのではないか。政府が米国債で得ていた金利を、今度は日銀が受け取ることになるだけだ。日銀は米国債の金利などで利益が出たら全部政府に上納することになっているから、政府は損はないし、国民の税金はまったく使わないでいい。

政府保有の米国債をアメリカにくれてやるというのではなく、政府保有の米国債を日銀に売り、そこで得た円をグアムや沖縄に投資する。沖縄に投資された円はそのまま国内の景気拡大に貢献する。グアムに投じられた円は、ドル買い介入と同じでアメリカでは使えないから結局、日本に戻ってくる。

市場に円が出回るので円安になるが、03年1月から04年3月までに政府は35兆円のドル買い介入を行って、円安にしたのだった。目的が円安なら、外貨準備を日銀に売ってグアムや沖縄に投資した方が良いということになる。

ちなみに、「経済学入門」(千種義人著)には紙幣が発行されるケースの主なものの第4として「輸出業者が商品輸出によって得た外貨が、市中為替銀行を通じて、政府の外国為替資金特別会計に売られる。政府はこのための資金を一般会計からの繰り入れによって賄うか、また手持ち外貨を日銀に売却して賄う。この場合、それに相当する紙幣が発行される」とある。

アメリカは当然こんなことは分かっているから、多少の値引きに応じるフリはするかも知れないが、100億ドルを日本が拠出するのに何の疑問も持っていないだろう。最悪のケースは政府が一般会計から100億ドルを拠出すると決めて、その分、他の支出を減らしたり、増税で穴埋めすると決めたときである。この場合100%国民にしわ寄せが行くことになる。


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Posted by 渡久地明 at 01:04│Comments(0)デフレ脱却
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